にったろぐ

漫画が好き。散歩が好き。ものづくりが好き。

ゴールデンカムイはディープにグルメでライトにグロめな新感覚漫画

漫画大賞2016の大賞「ゴールデンカムイ」を読んだ

ヒンナヒンナ、こいつあヒンナだぜ

ゴールデンカムイを最初に読んだのはヤングジャンプ本誌ではなく、少年ジャンプ+のアプリで1巻無料で配布されてた時。その時は「こんな漫画やってるんだ」くらいだった。でも僕ミーハーなので、漫画大賞2016の大賞が発表されて急に読みたくなってきた。「あ、あの漫画だ」って。
これね。

ってことはもうみんな読んでるわけですよ。なので読んだことある人が「そうそう」って思えるようなエントリにしたいと思います。

杉元脳みそ食っていいぞ

この漫画の魅力って、僕が思うに大きく5つあります。

  1. とてもディープなジビエグルメ
  2. 初めて知るアイヌの文化
  3. さらっと描かれる残酷な描写
  4. 憎めないキャラクター群
  5. アシリパさんかわいい

そもそものストーリーにおける目的はガン無視な5つですみません。これらが独特の間合いで描かれてるのが魅力だなー、って僕は思ってます。

1. とてもディープなジビエグルメ

時代は明治初期、場所は北海道。まだまだ自然と共存している時代です。いきなり話が脇道へ行くんですが、ゴールデンカムイは絵柄や服装のデザイン、キャラクターの口調などで時代を古臭く感じさせずに、現代(いま)っぽく読ませるのがうまい漫画です。時代に合わせ過ぎると読みづらいですからね。こういうの重要。

さて、話を戻すと、この漫画ってめちゃくちゃ動物食べるんですよ。いわゆるジビエです。本当に多様で、

  • リス
  • ウサギ
  • クマ
  • ウマ
  • シカ
  • オオワシ
  • アザラシ

などなど、とにかく食べます。しかもただ食べるだけではなくて、描写が細かい。後述するアイヌの文化にも関連するんですが、詳細を書くことによって何を大事にしてるか、ってのがよくわかります。

それらをコミカルに描いてるのがアシリパさんの杉元への気遣いですね。
「杉元脳みそ食っていいぞ」
「杉元目だま食っていいぞ」
それらを食べることができるのは貢献者だけ、という狩りをしたものへの敬意が含まれています。杉元がイヤな顔したときのアシリパさんかわいい。

ヒンナヒンナ

2. 初めて知るアイヌの文化

小中高くらいまでを通して、アイヌの文化って全然教わることってないんだよなー。北海道の子は教わってくるのかな?民族衣装を見たことがある程度なので、ゴールデンカムイを通してアイヌに触れることによって興味わいてきました。

ゴールデンカムイを通して知れる文化はこんな感じ。

  • 信仰(自然に生きる動物を通して)
  • 狩猟と食
  • 言語

特に、狩猟や食を通して知る独特な信仰は興味深い。ケガレの概念とかね。

まあここでもそれらを重たく描写せずに面白おかしい描写を取り入れるのがこの漫画のいいところ。特に、5巻で辺見和雄とシャチのシーンで、アシリパさんが「このシャチは人を殺した悪い神だから食べられない」と言った後に速攻でシャチを口にするシーンは最高です。アシリパさんは新しい世代のアイヌなので、ご都合解釈も多分に取り入れていきます。

オソマ入れるんだろうなあ(チラッ

3. さらっと描かれる残酷な描写

全編を通して、かなり血なまぐさいです。脳天に銃弾、飛び出すはらわた、ぶった切られる首、変な方向に曲がる手足、料理一つとってもそうです。これね、本当にグロく描く漫画家だったらこれだけで読者離れるわ。でも、この漫画はそれらを「さらっとライトに」描写します。なんだろう生首描いてても生々しくないというか、「うわっ」って思ってもエンタメとしてとらえられるというか。バランスいいんだよね。こういう漫画って意外と少ない。最近の青年漫画ってこういうのできる限り緊迫感もってエグく描くでしょ?あれ嫌いなんだよね。暴力の表現とか行き過ぎてるの嫌い。

その中でも、土方歳三と長倉新八が港町で立ち回るシーンが好きです。爺さんたちが切りまくるの痛快。いくつになっても男子は刀を振り回すのが好きだろう?

4. 憎めないキャラクター群

とにかく、登場人物がみんな変態なんですよね。特に敵キャラがヤバい。なんだろう、「性癖」がおかしいんですよ。イカれてる(ほめ言葉)。特に第七師団の鶴見中尉はヤバい。崇高っぽいビジョンを語りつつも狂気のかたまり。殺し屋1(イチ)の安生を彷彿とさせる雰囲気。辺見和雄や家永(洋館の女将)、最近でいうと親分と姫。このあたりって全員変態なんですよ。変態を地で行くキャラばかり。何が変態って、読んでもらうしかない。あんまり文章に残したくないレベルで変態(笑

あとはみんな好きだと思うんですが、「脱獄王」白石最高です。白石の頭には動物が思わずかじりたくなるフェロモンが発せられてるんだと思います。白石もいつかさらっと皮剥がされるのかなあ(遠い目

5. アシリパさんかわいい

主人公の一人であり、物語全般のストーリーテラーでもあるアシリパさん。なぜ杉元は「さん」づけしてるのかいまだによくわかりませんが、その「さん」がかわいさを引き立てます。アイヌ語り部だったり、食事の献立考えたり、まだ子供なのにも関わらず、シカだろうがクマだろうがバンバン狩る。皮を剥ぐ、脳みそや目だまを杉元に食わす。もうなんていうかかわいい。多彩な変顔もかわいい。ニリンソウ無くなって打ちひしがれるアシリパさんかわいい。

彼女にはこれから厳しい現実が待っていそうな気もしますが、ぜひそのかわいさで乗り越えていって欲しいと切に願います。ストゥを乱用するアシリパさんが好きです。

最後にあらすじ

冒頭にも書きましたが、そもそも大人気漫画なので、みんな読んでると思うんですよね。でも僕のこのエントリ読んで初めている人がいたら申し訳ないので、一応あらすじ貼っておきます。

元兵士の杉元佐一は、かつてゴールドラッシュに湧いた北海道を訪れる。そこで彼は網走監獄の脱獄囚たちの入れ墨を全員分集めれば、アイヌが遺した莫大な埋蔵金の隠し場所がわかるとの与太話を聞かされ……。骨太な冒険活劇を軸に、アイヌ文化に北海道グルメ、新撰組の生き残りと、さまざまな要素をこれでもかと詰め込んだ一攫千金サバイバル。

ナタリーの作者の対談記事から引用しました。

まだたった7巻しか出てないので、まずはみんな読みましょう。「えー、読んじゃっていいのぉ。本当にいいのぉ。」